この浴衣は、しばらく通っていた和裁教室の課題で、ずいぶん前に私が縫ったもの。
クマさんが元気に遊んでいる柄の木綿地で仕立てた、男の子の一つ身の浴衣である。
一つ身の浴衣
前後身ごろを反物幅の生地1枚で縫い上げることから「一つ身」仕立てというのだが、できあがりは、だいたい3歳くらいの子供サイズになる。
お教室の練習では先生方がしっかり指導して下さるので、この浴衣も、けっこうな手間ひまをかけて、1ミリの狂いもないほどていねいに仕立てあがっている(笑。
帯紐の付け位置には、「飾りしつけ」という模様縫いも、ちゃんと入ってます!
こうしてみると、自分で縫った愛着もあるせいか、やっぱりミシン縫いの市販品にはない味わいがある(・・と、勝手に自己満足w)。
「肩揚げ」と「腰揚げ」
子供の着物は、肩と腰の部分に生地の余分を縫い込んで、「揚げ」というものを入れておく。
子供はすぐに大きくなって着るもののサイズが合わなくなってしまう。しかし、この「肩揚げ」と「腰揚げ」の生地を開いて伸ばしていくことで、ある程度までは丈や肩幅を大きくできる。
こうして、子供が成長していっても、しばらくは調整して着られるように工夫されたのが「揚げ」なのである。
これは大人の着物にはもちろんないので、揚げがある着物というのは、子供らしくて、見た目にもとてもかわいいのだ。
モデル君のこと
モデルの男の子は、会社の後輩のご長男君。
この浴衣を、ちょうどお父さんになったばかりの後輩にお譲りしたのは、この子が生まれてすぐの頃だった。
彼はそれを忘れることなく、ちゃんと息子さん3歳の夏に着せてくれたのだ。写真を見せてもらったときは、本当にうれしかった・・。
かわいい子に着てもらえて、浴衣も喜んでいるに違いない。
夏になったら、「揚げ」を伸ばしてあげて、もう少しの間着てもらえるといいな、・・と思っているところ。