カレンブロッソの「カフェぞうり」の履き心地と、実用的な草履について

和装の履き物としては草履を中心に、下駄や雪駄などがある。

夏の浴衣には素足に下駄履きが涼しげでよく似合う。

春の卒業式時期には、袴姿に短靴(ショートブーツ)姿を見かけることもあるが、若い女性なら「はいからさん」を彷彿とさせる大正ロマン風のこの合わせ方もかわいらしい。

しかし一般的には、男性用としては雪駄、女性の和服姿にはやはり草履が基本の履き物となる。

先日、カレンブロッソの「カフェぞうり」なるものを買ってみたので、その特徴や草履のことについて思ったことなどを書いてみた。

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カレンブロッソのカフェぞうり

最近では、鼻緒を太くしたり、かかと部分を平らにしたりと、履きやすく工夫された草履も多いが、コルク芯や生地を使った製品はやはり水に弱く、接地面にある鼻緒のすげ穴から水がしみこんで来ることもある。

雨の日には草履カバーや日和下駄という選択もあるが、濡れた路面からの水の浸食を防ぐためにはゴム底の草履が便利である。もちろん皮底の物より滑りにくいし、砂利道などでも歩きやすい。

こうした製品はこれまでにもいくつかあるが、今般購入した「カフェぞうり」もそんな実用重視の草履である。

履き物の老舗「菱屋」が開発したこの「カフェぞうり」は、従来の草履を形から変えて履きやすさや実用性を重視した作りになっている。

形と材質の工夫

たとえば、草履台にEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)を使用することで軽量化・クッション化し、ゴム底なのでアスファルトや砂利道でも滑りにくい。

実際に履いてみた感じでも、たしかにこの柔らかさは、長時間の歩き疲れを軽減すると思われた。

天生地は革素材などもあるようだが、こちらの市松はナイロンなので汚れの手入れもラクそうである。

雨用草履というわけではないので水濡れや湿気への注意書きはあるが、踵の形も水はねしにくいよう工夫され、何より、台底に鼻緒のすげ穴がないので、雨や水に強いのがありがたい。

カラフルな原色使いなどモダンなデザインも多くて人気商品らしく、台や鼻緒を選べるセミオーダーでは、現在もけっこうな納期待ちになっている。

今回は、ウールや紬などの普段着用にカジュアルでかわいい市松柄と、ベージュ無地の2足を購入してみた(無地はこのシリーズ中ではかなり地味で面白みもないが、実は何にでも合わせやすそうなこちらの方が、出番が多そうな気がしているw)。

夫用に購入したメンズラインの「ZETTA」

ちなみに、この「カフェぞうり」には、男性用に展開している雪駄ラインの「ZETTA」シリーズもある。

夫の普段着物用にこちらも購入してみた。
まだ卸していないが、ほどよくソフトで鼻緒ずれもしにくさそうなので、履き心地の好評を期待しているところである。

ちょっと気になる点

そんなカフェぞうりだが、気になる点もある。

まずは、耐久性。

底が1枚のゴムという形状なので、かかとの交換や鼻緒の交換ができない。

このため、特に踵がすり減った場合を考えると、どの程度履き続けられるかという心配があるのだ(ついでに、素材に対してお値段が少々高めな気もするが、これはデザイン料かな?w)。

そして、着用シーン。

「カフェぞうり」ではセミフォーマルラインも展開されているが、これも軽めの付下くらいまでがいいかも知れない。

EVA台がむき出しの作りなので、後ろや側面から見るとけっこう目立つ。この質感が、やはり礼装・正装には厳しいと思われるのだ(笑。

フォーマルの時は会場行き帰りの道中履きくらいにとどめ、当初の商品コンセプトどおり、カジュアル着物での街歩きや普段着物に合わせて楽しむ方が向いている商品である。

若い層を中心に和服を着る人が増えているといわれるが、これら「カフェぞうり」の商品コンセプトやデザインを見ると、本当かも知れないと思える。 

アシックスの草履「着物語きょうと」

ちなみに、アシックスが製造している草履がある、京都おかだとアシックス商事が共同開発し、2012年頃から「着物語きょうと」という商品名で販売されている。

こちらも「カフェぞうり」同様、EVA台でゴム底になっているが、土踏まずの前後に作られた膨らみで前スベリしにくく、踵部分もソフトなホールド形状になっている。

取扱い店が少ないせいかあまり知られていないが、和服常用の人が好んで履いている草履である。軽さと滑りにくさも好評で、台も3層風の仕上げなので高級感もあり、(未確認だが)踵の交換もできそうに見える。

値段は「カフェぞうり」よりやや高めだが、フォーマル向きにはこちらの方が違和感がないように思う。

今回は、市松柄に惹かれてカレンブロッソにしてみたが、こちらもいずれ試してみたいと思っている草履である。

いずれにしても、機能性・実用性とデザイン性を意識した和装商品の品揃えが増えるのは、個人的にもうれしいことだ。
(でも、オレンジのチェックは、私にはちょっとハデだっただろうか(笑。
脱いだときにはかなり目立ちそうなので、お店などで他の人とかぶりませんようにw・・。)