日本の「三大紬」というとき、結城・大島の次にくるものは?

同じカテゴリーでよく「三大○○」という言葉を耳にする。たとえば、三大祭り、三大うどん、三大景気、三大芸能などなど、ちょっと考えただけでも無数に浮かびそうだ。

しかしこの「三大」は、よく考えると、2つまでは異論がないものの3つ目に諸説あるものも多い。

これは和服関連でも例外ではなく、紬についても当てはまるように思う。
紬のツートップが結城と大島であることに異論のある人は、まずいない。

では、日本の「三大紬」と問われたら、3番目はなんだろうか・・。

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三大紬とはなんだろう?

この答えとして、結城・大島に次いで塩沢紬をあげる人は多い。永六輔さんが作詞した「女ひとり」にも、結城・大島に次いで歌詞の3番で塩沢が登場する。

しかし、回りの人にも試しに聞いてみたところ、牛首と考えている人も結構いた。

実は、紬の「三大」には、決まった答えはないらしい。 今年受講した「着物文化検定」対策講座で、講師の話を聞いてなるほどと思ったことでもある。

紬は元々、売り物にできないクズ繭を利用して、農家などが閑散期に糸を紡いで染めあげ、自分たちの普段着とすべく織られていたとされる。
こうした生い立ちから、時とともに織りや染色の技術も進歩し各地域で洗練された紬が生産されている現在でも、織りの着物(糸を染めてから織り上げるので「先染め」ともいう)は、染め(織った白生地を染める「後染め」)の着物よりも格が低いとされて、礼装には用いられない。
どんなに希少で高価なものであっても、紬は、カジュアルな場面で楽しむ趣味的要素が強い着物と位置づけられてきたのである。
(もっとも昨今は、絵羽柄を織り出した紬(「織り絵羽」などと呼ばれている)や、染め大島の訪問着などもあり社交着としての地位も上げつつあるが、それでもフォーマルな場には柔らかい着物の方が無難である。)
 
 
 
(全日本きもの振興会編・改訂版「きもののたのしみ」54・55頁より)
 
ともあれ、こうして地域ごとの風土に根差して現地で作られ続けてきた紬は、織りの工夫や、特徴的な柄行、自生植物などを原料とした染色が相まって、それぞれに異なる表情を醸すのである。

たとえば、「結城に始まり結城に終わる」といわれるほど軽やかで着心地のいい本場結城紬や、光を帯びるほどに艶やかな大島紬、独特なシャリ感がさわやかな本塩沢、丈夫さで異名を持つ牛首紬はもちろん、個人的には、都民として同郷の愛着が湧く黄八丈や、素朴なぬくもりがやさしい久米島紬や琉球絣、カラフルな紅花紬や実用的な上田紬・飯田紬などなどが思い浮かび、あげ出したら切りがない・・。

それぞれの持ち味はどれも甲乙つけがたく、私には順位付けなどとてもできそうにないが(笑、つまるところ、「三大紬」の答えは、個々人の好み、時代や地域、メディアの露出程度や生産量などに応じて、各人各様ということなのであろう。

染色技術や装飾技法を尽くした友禅・紅型などの染め生地は、とても華やかで美しい。
一方で、織りの着物の多くは地味だが、糸作りから染め・織りなどに関わる多くの作り手の温もりがダイレクトに伝わり、それぞれに着心地の違いもあって、とても味わい深いと感じる(最近では久留米絣や伊予絣などの綿紬の素朴さにも強く惹かれてしまうのだがw・・)。

私の結城紬自慢w

結城は何枚か持っているが、この3枚は、いずれも重要無形文化財に指定された本場物である。

私は、本結城を選ぶときだけは、証紙の有無や内容にとてもこだわってしまう。

ナンチャッテ本結城や重要無形文化財モドキ?wも多く出回っている結城紬だが、特にリサイクルやネットで高価なお支払いをする際は、ぜひぜひご慎重に(笑。

一番上の写真は、「春日杉」と命名され、井上商事が販売する六反縛りの1反目で縫われた着物。 もっとも、柄が渋いこともあるが、貧乏性の私は、もったいなくてまだ和箪笥にしまい込んだまま袖を通せてないのだがw・・。
一生物と言い聞かせて奮発したので、これからじっくり着倒さなければ(笑。

こちらはだいぶ以前に誂えたせいか、今やアンティークな趣さえある、結城らしい総絣の1枚(亀甲数は忘れてしまったw・・)。

もう1枚は、濃い緑色の無地紬。
絣柄のない無地で本結城にこだわるのもどうかと思ったが、この軽さを知ってしまったら、石下結城などが重く感じてしまうのだ。
着やすい上に、無地は帯で遊べて合わせやすくて、これは出番の多いお気に入りの1枚となっている。

(ちなみに、結城紬の業界団体は、平成17年に景表法違反(優良誤認)で公正取引委員会から警告を受け、一部業者は行政処分も受けている。
少し調べてみたところ、このお話は少々ややこしい(笑。
重要無形文化財の意味や結城の証紙については長くなるので、機会があればいずれまた・・)