【水月ホテル鴎外荘】/台東区池之端
ジャンル : 和食
場 所 : 東京都台東区(最寄駅: 根津or上野)
お店のHP : https://ohgai.co.jp/
上野公園・不忍池の側にある水月ホテル。この中に、森鴎外が住んでいた住居が残されている。
この居宅をお座敷にした特別室で味わう会席料理は、和洋折衷の妙。さらに、昼夜のお食事コースには、館内の「鴎外温泉」に入浴もできるサービス付きで話題性も高い。
当店は、私が宴会の場として好んで選ぶ会場の1つである。
都心ながら静かな中庭が風情のある「鴎外荘」
外観は普通のホテルだが、右手のフロントを通り越して奥に入ると、敷地中央には明治の文豪・森鴎外がかつて住んでいた旧邸が残されている。当時の庭はそのままホテルの中庭になり、小さな池には鯉が泳いでいる。
通路正面の建物が新館で、レストランや宴会場があり、ここを抜けて右手の本館2階が温泉浴場となっている。
新館レストラン席で京懐石を食すのも悪くないが、各種会場も用意されており数人から数十人の大宴会まで可能だ。しかし別途室料はかかるものの、ここは特別室となっている森鴎外居宅の部屋を貸し切っての宴会をお薦めしたい。
こちらが、特別室の中でもいちばん大きな「舞姫の間」。鴎外が名作・舞姫を執筆したとされる和室である。
コース料理の鴎外懐石は会席膳で供され、和式の結婚披露宴のようで趣がある。以前30数名の会食会をここで催した際もすこぶる好評であった。
ちょっと余談だがw・・。
「舞姫」は、貧しい国費留学生がドイツで踊り子エリスと恋に落ちるが、身ごもった彼女を残して帰国してしまうという悲恋小説だが、内容は作者鴎外自身の実話とされている。
鴎外は留学後、母親の強い勧めで結婚するが、この旧邸はその妻の実家の持ち家であった。つまり、新妻の家で本人を前に、忘れられない恋人(エリーゼという実在の女性)を思いこれらの作品を書いていたということになるのだ。この結婚生活が短期間で破綻したという事実をみても、妻登志子の心中は察するに余りある。・・などど余計なことを考えてしまうのは、私の悪い癖であろうか(笑。
なお、旧邸を用いた特別室は全部で3部屋。写真の「於母影の間」のほか、「蔵の間」という少人数用のテーブル個室がある。
温泉入浴のサービスも好印象
特別室に限らないが、こちらのコース料理には、同ホテルの入浴サービスが付いている。
ホテル自慢の、東京都内第1号に認定された重炭酸ソーダの天然温泉である(通常の入浴料金は1,500円)。
東京の温泉は一般にやや黒みがかったお湯なので「黒湯」を呼ばれるが、こちらもそうしたお湯である。
接待などでも事前にアナウンスしてあげるのだが、お風呂好きの方は早めに来て喜んで温泉を楽しんでいる。話題としても楽しく、何よりお風呂上がりに飲む冷たいビールは格別だ(笑。
宴会予約者にはフロントでタオルの無料サービスもあり、お昼から宴会終了後まで自由に入れるので、ユニークな趣向として参加者の印象に残ることだろう。
コース料理は見た目も美しい和洋折衷
肝心のお料理が後回しになってしまったが、こちらの「鴎外懐石」は京料理を中心に、ココット鍋でビーフシチューなども織り込まれ、和洋折衷的なメニューが目にも楽しい。それぞれのお料理は、ワインとの取り合わせも悪くない。
食器も銀のプレートなどを用いて美しく、上品なモダンなさを醸していた。
特別室なら「振袖さん」の舞いも楽しめる
水月ホテルは上野の杜にあって、浅草にも近い。
ここには、京都の舞妓さんにあたる「振袖さん」と呼ばれる浅草の芸妓さんが通ってくる。
お座敷に呼ぶのは本来有料だが、特別室貸切の場合は、お願いしなくても、たいていサービスで来てくれる。踊りを披露して一緒に写真撮影などもしてくれるのだが、私には、男性陣が一斉にカメラを向ける姿の方が印象的で、いつもつい、みんなが写真を撮っている写真を撮影してしまうのだった(笑・・。
日帰り温泉プランもお薦め
夜の宴会用途はもちろんだが、家族の会食や女子会、カップルでの個人利用には、日帰り入浴プランをお薦めしたい。ランチコースにお座敷個室がセットされたプランも5000円程度とリーズナブルで、これなら小さな子供がいても、家族みんなでゆっくりできるだろう。
上野公園に隣接した立地なので、動物園や美術館などの見所も近くにたくさんある。周辺の散策とあわせ、のんびり温泉旅行に行った気分に浸れると思う。
この日帰り温泉プランは、こちらから手軽にネット予約ができる(トップ画面の検索で「鴎外荘」と入れると各種プランが表示されるので見ていただければと思う)。
このサイトは私もたまに利用しているのだが、全国のなかなか面白いプランが掲載されているので、ご参考までに。